エコだけじゃない、FSC認証が求めているもの

エコだけじゃない、FSC認証が求めているもの

環境問題が世界的課題となっている今では、FSCロゴマークが印刷物に導入されているケースも多くなってきました。

大野印刷では2017年の取得以来、様々なお客様の印刷物にFSCロゴマークを導入するお手伝いをさせて頂いておりますので、導入する際の注意事項や、FSC認証を取得して感じている事などをご紹介していきたいと思います。

目次

FSC認証とは

まずは簡単にどんな認証制度かをご紹介します。

FSC認証とは「持続可能な森林管理」が実践されていることを認証する国際的な制度です。ドイツ西部の都市ボンに本部を置くFSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)が運営しており、世界81か国で認証が取得されています。この認証は、「製品が環境に配慮した方法で生産されている」ことを保証しており、認証を受けた森林からの生産品による製品にのみFSCのロゴマークをつけることができます。

FSC認証の種類

FSCの認証には「FM認証」と「CoC認証」があり、木材などを森林から収穫するところから(FM認証)、生産・加工・流通を経て製品となるまで(CoC認証)、全ての関わる組織(サプライチェーン)が認証を受けている必要があります。

サプライチェーン

大野印刷は上図の「加工」の工程にあたりますので、CoC認証を取得しています。

FSCロゴマーク

「FM認証を取得した森林」から収穫された木材等が、「CoC認証を取得した工場等」で生産・加工された製品にのみ「FSCロゴマーク」をつけることが認められています。このFSCロゴマークを製品につける際には、「製品用FSCラベル」を使用し、製品のトレーサビリティに必要な情報が記載されており、「製品が環境に配慮した方法で生産されている」ことが保証されています。

FSCロゴマーク

製品へのFSCロゴマーク導入

DXやIT化が積極的に導入されている現在ですが、会社案内・製品カタログ・製品の取扱説明書・名刺など、少なからず紙で残っている物は多いのではないでしょうか。

こうした紙媒体の製品を少しでも環境に配慮した素材に変えてみませんか。

それを目に見える形でアピールできるのが、FSCロゴマークなのです。

FSCロゴマーク導入にあたってのデメリット

製品へのFSCロゴマークの導入にあたっては、環境に配慮した印刷物である事をアピールできるメリットがありますが、それと同時にいくつかのデメリットがありますので、そちらを紹介します。

用紙

FSCロゴマーク入りの印刷物を作成するには、FSC対応用紙を使用する必要があります。つまり、全ての用紙を使えるわけではないので、デザイン性の高い用紙や特殊な用紙は対応する物がない可能性があります。
※一般的な用紙はほぼFSC対応の代替用紙があります

製造期間

通常の印刷物を製造する工程には存在しない工程が発生します。
それが「認証機関からの外部承認」です。
FSCロゴマークの使用にあたっては、マークのグラフィック規制への準拠等を確認するために、印刷前に認証機関からの承認が必要となります。
そのため、

[通常の印刷物]
データ作成→印刷→納品

[FSCロゴマーク入り印刷物]
データ作成→認証機関の承認→印刷→納品

といったように、通常より製造期間が掛かってしまいます。
※リピート案件や類似したデザインについては承認が必要ない場合もあります

このように、通常の印刷物にはない問題がありますが、環境に配慮した印刷物がスタンダードになれば、さほど大きな問題ではないと思われます。

実録!FSC-CoC認証 年次監査・更新監査

ここからはFSC担当者が感じた監査の率直な感想を聞いてみたいと思います。

今年の監査(年次監査)は何を重点的に確認されましたか?

紙の購入履歴等の商流はもちろんのこと、今年は特に安全・衛生管理の面での確認が多かったと思います。

森林などの木材、つまりエコに関する認証かと思っていましたが、職場環境の確認もされるのですね?

FSCでは2021年~2022年にかけて、「中核的労働要求事項」の4つのカテゴリーについて遵守することが規定されました。
この4つのカテゴリーが
・児童労働の禁止
・強制労働の禁止
・雇用及び職業における差別の撤廃
・結社の自由と団体交渉権の尊重
となっており、FSCのサプライチェーン内で働く労働者の「基本的人権」を守ることが求められています。
この観点から、職場環境の確認が行われたのだと思います。

なにか職場環境についての指摘はありましたか?

特に大きな問題はなかったのですが、5Sの徹底をアドバイス頂きました。
床に物が置いてあったり、機械油で汚れていたりすると、思わぬ事故やケガの原因にもなりかねませんので、日頃から5Sを意識して作業を行って頂きたいとの事でした。
たしかに、当たり前の事ですが、いつもある場所にその物がないと、探したりして作業効率の低下にも繋がりますよね。
初心に帰って作業環境を見直すいい機会になりました。

このように、FSC認証は資源を守るだけではなく、製品の製造過程で働く人の権利も守っています。SDGsとも連携を強めているFSC認証製品を印刷物に取り入れてみてはいかがでしょうか。

大野印刷では、会社案内や製品カタログ等、様々な印刷物にFSCロゴマークを入れるお手伝いをさせて頂いております。

詳しくは弊社営業または問合せフォームよりお問い合わせください。

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この記事の執筆者

kawashimaのアバター

kawashima大野印刷

生産管理

執筆者プロフィール

主に印刷物等の在庫管理~出荷のスケジュール管理を担当。
元々DTPオペレーターだったこともあり、アナログよりデジタルを好む。
プライバシーマーク取得時に個人情報保護推進事務局に所属していたため、
個人情報管理・機密管理にも精通している。

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