ウェブアクセシビリティに関わる法令が改正?2024年4月に変わった「障害者差別解消法」について

「障害者差別解消法」が2024年4月1日に改正されました。
今までに様々な取り組みをされている企業様もいらっしゃると思いますが、私たちのプロモーション領域、特にWeb領域では、ウェブアクセシビリティにも関わってくるのではないかと関心が高まっています。

そんなウェブアクセシビリティについて

    • 対応を行う義務があるのか?
    • そもそも何を行っていくべきなのか?

    を、分かりやすく解説させていただきます。

    目次

    障害者差別解消法とは?

    「そもそも障害者差別解消法ってなに?」という方もいらっしゃるかと思いますが、2006年に障がい者の基本的人権の尊重・促進を目的として国際条約「障害者の権利に関する条約」が採択、2008年5月に発行されたことに始まります。

    日本では、2007年9月にこの条約に署名を行い、全ての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障がいを理由とする差別の解消を推進することを目的に2013年6月「障害者差別解消法」を制定、2016年4月1日から施行されました。

    2024年4月1日から変わった合理的配慮提供の義務化

    今回の改定では、事業者による障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されました。日常生活や社会生活の中で障がいのない人には簡単に利用できても、障がいのある人には利用が難しく活動を制限してしまう、そんな制限を取り除くための合理的配慮を行政機関や事業者は行っていく必要があります。

    具体的には・・・

    1. 行政機関等と事業者が、
    2. その事務・事業を行うに当たり、
    3. 個々の場面で、障がい者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に
    4. その実施に伴う負担が過重でないときに
    5. 社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること

    とされています。

    また、ここでいう「障がい者」の方は障がい者手帳を持っている人に限りません。目が見えにくい、耳が聞こえにくい、足腰が悪い方など、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人すべてが対象となります。

    では、実際ウェブアクセシビリティにおいては、どのような合理的配慮が必要になってくるのでしょうか?

    ウェブアクセシビリティにおける合理的配慮とは?

    ウェブアクセシビリティにおける合理的配慮にはどんな事が必要になるのか。
    事業活動に必須となっているウェブサイト運用にとても重要な項目になってくると思うので、調査してみました。

    実は、明文化されていないんです。
    それについて、弊社のパートナーが内閣府に確認をしたところ、合理的な配慮については義務化されたが、ウェブアクセシビリティについては、「環境の整備」に含まれた内容になるということで、義務化されるということにはなりませんでした。

    とはいえ、何もしなくていいわけではありません。サイトのご利用者の方からお問い合わせがあり、障がいのある人にとって利用が難しい内容が発覚した際には、適切な対応を行っていく必要もあります。

    利用者からお問い合わせが来た際の社内フローの確立

    障がい者の方がサイトを利用している中で、利用が難しく活動を制限してしまうなどのお問い合わせがあった際には、社内での検討フローを確立しておく必要があります。例えば、一定量以上の問い合わせがあれば、「環境の整備」にかかわる事項と考え、ウェブアクセシビリティに取り組むことを検討していく。少ないようであれば、合理的な配慮の範囲内で対応していくなどを考えておく必要があります。

    自社サイトの状況把握

    お問い合わせがあることを考えると自社サイトの状況把握をしておくことも重要です。

    ウェブアクセシビリティに関しては、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)ISO/IEC 40500:2012JIS X 8341-3:2016という3つのガイドラインがあります。

    自治体では、JIS Xの基準において「A」や「AA」の達成が必要とされており、企業としても上記のようなガイドラインを確認し、自社サイトの状況をしっかりと把握していく必要があります。

    JIS X 8341-3:2016 達成基準 早見表
    引用元:JIS X 8341-3:2016 達成基準 早見表(レベルA & AA)
    https://waic.jp/files/cheatsheet/waic_jis-x-8341-3_cheatsheet_201812.pdf

    ウェブアクセシビリティ診断サービス

    上記にあるようなガイドラインに沿って対応状況を診断できるサービスをご用意しており、診断だけではなく、改善策の提案、実施まで幅広くサービスを取り揃えております。また、現サイトを診断したうえで、サイトをリニューアルするタイミングでアクセシビリティ対応を実装していくようなプロジェクトも可能です。

    ウェブアクセシビリティ対応は、義務化されていないものの今後の法律改定を見据えた企業の社会的責任として対応していく。もしくは、海外ではアクセシビリティに起因する訴訟も増えているので、リスクヘッジのためにも非常に有益なものになると思います。

    副次的な効果ではありますが、SEOにも効果があり、流入増加にも貢献した事例もあるので、是非ご興味がある方はスタッフまで一度ご相談ください!

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    この記事の執筆者

    Arata Kanekoのアバター

    Arata KanekoMinds

    プロデューサー

    執筆者プロフィール

    大学卒業後、Web制作会社に入社。ディレクターとして活動後、よりお客様に近い場で仕事をしたいと考え、現職に転職。現職では、プロデューサーという立場で、お客様の課題を解決するためのコミュニケーションプランニングを行い、Webだけではなく、グラフィックや映像、展示会なども含めた様々なメディアを経験。

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