紙の厚さ なぜ重さ?

印刷の発注をしようと紙の種類を選んでいたら、なぜか厚さの選び方が「kg」になっていて不思議に思ったことはないでしょうか。
しかも90kgとか110kgとか、かなり重たい重量で書いてある事もあります。これは何の重さなのか?なぜこの様な表記になるのか?
その謎を解き明かしつつ、今回は印刷用紙の厚さ表現のについてお話ししたいと思います。

目次

用紙を指定するための3要素

まず、紙の厚さのお話の前に、印刷において用紙を指定するための3要素からお話したいと思います。用紙を指定するために必要な要素は、種類厚さ(斤量)数量があります。

種類

紙の種類は細かく分類すると、実は数千種類あると言われています。
その中でもよく印刷で使用される紙は上質紙・アート紙・コート紙・マットコート紙などがあります。つまり、「どんな紙を使うのか?」という事ですね。
これは仕上がりの印象に大きく関わりますので、作りたい物に合わせた選択が必要です。

厚さ(斤量)

紙の種類が決まったら、次は厚さ(斤量)です。
同じ紙でも、厚さによって大きく仕上がりが変わります。
「本を厚くしたくないから、薄い紙で」「高級感を出したいから少し厚めの紙で」など、紙の厚さを決める基準はたくさんあると思います。
こちらも作りたい物に合わせての選択が必要となります。

数量

最後に数量です。
紙が何枚必要か?という事ですが、「完成品の数量」と「必要な印刷用紙の数量」はイコールにはなりません。なぜなら、印刷物を製造する時は完成品のサイズで1枚ずつ印刷するわけではなく、大きな紙に印刷した物を切ったり折ったりして完成させています。よって、印刷の発注時には完成品の数量を指定頂きますが、実際にはそこから必要な印刷用紙の数量を計算し、紙を用意しているのです。

紙の重さの表現方法

印刷用紙を決定する要素が種類・厚さ(斤量)・数量だと分かったところで、次に紙の重さの表現方法を見ていきたいと思います。
表現方法には坪量(g/㎡)連量(kg)の2種類があります。

坪量(g/㎡)

坪量(つぼりょう)とは、1㎡あたりの紙の重さを表した物になります。
一般的なコピー用紙ですと、64g/㎡のような表記になります。

連量(kg)

連量(れんりょう)とは、ある既定の寸法の紙1,000枚(=1連)あたりの重さを表した物になります。(板紙の場合は100枚あたりの重さ)
一般のコピー用紙ですと、四六判 55kgのような表記になります。

「厚さ」を「重さ」で表現する3つの理由

表面に凹凸のある紙があるため

表面がデコボコしている紙の場合では、山の部分と谷の部分で厚さが異なります。
これを厚さの単位で表現する事が難しいために重さで表現しています。
※「厚口」や「薄口」など、相対的な厚さ表現を使用している紙もあります

1枚の紙でも場所により微妙な誤差があるため

パルプから作られる紙ですが、紙はあくまで繊維の集合体のため、繊維の集まり具合により場所ごとで多少の誤差が出ます。
肉眼ではもちろん判別出来ない様な小さな誤差ですが、元々小さな単位でしか表現出来ない紙の厚さの場合、測定値に誤差が生じてしまいます。

昔からの慣習

印刷会社が紙を購入する際、昔から重さで取引を行っています。
その際に使われるのが「連量(1,000枚あたりの重さ)」のため、紙の厚さを表す指標として重さが今でも使用されています。そのため、紙の厚さ=連量での表記が一般的となっています。

手元にある紙が何かを知りたい時は

ここまで、紙の厚さに関する表現方法について説明しましたが、実際に厚さを知りたいケースとして考えられるのは、本を作る際に「この紙より厚く」や「この本と同じ紙にしたい」など、数値では分からないケースです。
印刷会社では、紙の厚さを測る専用の器具があったり、紙の見本帳があったりと、紙を調べる手段があります。
使う紙に悩んだ時にはお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

kawashimaのアバター

kawashimaCPLUS

生産管理

執筆者プロフィール

主に印刷物等の在庫管理~出荷のスケジュール管理を担当。
元々DTPオペレーターだったこともあり、アナログよりデジタルを好む。
プライバシーマーク取得時に個人情報保護推進事務局に所属していたため、
個人情報管理・機密管理にも精通している。

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