たかが箱、されど箱。当社が「梱包設計」を始めた理由とは?

商品を届けるうえで欠かせない「」。
その役割は単なる商品の保護にとどまりません。商品価値を引き立て、輸送効率を高め、環境への配慮を実現する必要があります。
当社が「梱包設計」に取り組むようになった背景には、お客様の抱えている課題を解決したいという想いからでした。
今回は、当社が梱包設計事業に参入した経緯と今についてご紹介します。

目次

1. 梱包設計事業の始まり

1990年代、お客様の生産拠点がアジアへシフトするのに伴い、当社も現地での取扱説明書の印刷を手掛け始めました。その頃、他社が提供していた梱包箱の品質基準(印刷仕上がりや製函技術のレベルの低さ段ボールの強度不足工程間・輸送・保管時のトラブル等)を満たせていないとお客様から相談を受けました。
そこで、当初は冊子の印刷業務のみを請け負っていましたが、改めて梱包設計の重要性を知り、新たな挑戦として梱包設計業務も手掛けることにしました。

印刷仕上がりレベルの低さ

現地の印刷会社では、オフセット印刷の基本常識が守られず、紙の種類や印刷環境による色味の違い、インキの濃度調整による色むら、版ズレによる見当不良、刷版やローラにゴミが付着するピンホール、インキの刷順間違いによる発色不足など様々な問題が発生。

製函技術レベルの低さ

折り曲げ不良による罫割れ、貼り工程での接着不良、貼りズレなど発生。

段ボールの強度不足

国内と海外での資材の単純な規格違いを含め、国内と同じ斤量のライナー、中芯を使用していても、貼合による接着不足や、多湿に弱い段ボールの湿度管理の不足など様々な要因によるトラブルが発生。

工程間・輸送・保管時のトラブル

インキの乾燥や浸透不足による擦れ、インキの粘着性で接着してしまい無理に剥がし、表面が破れてしまうブロッキングが発生。

2.課題と決断 梱包設計への展開

海外での印刷は、国内では想定出来ない事が数多くおきます。
単純な問題もあれば、梱包設計、印刷、材料選定、設備、スキルなど、様々な要因が複合的に絡み合 った難解な問題もあり、色々なアプローチで問題を解決する必要がありました。
当時は、梱包箱の製造に関して専任の技術者や設備が整っていなかったため、ひとつひとつ問題を解決していくには困難を伴いました。
そのような状況下でも、梱包箱の設計や製造に関する専門知識や、現地で調達する材料との調整は必要不可欠でした。そこで、梱包設計部門を新たに立ち上げ、印刷業務に加え梱包設計にも特化した生産体制を構築していきました。

3.職人達との連携による改善

梱包設計部門を立ち上げた後、次なる課題として、現地での品質を改善する必要があり、材料商社や設備メーカー、そして職人達と共に調査・改善に取り組みました。その結果を踏まえ、現地で関係者が発生した問題を即座に判断・解決する体制を整えるとともに、4M(人・機械・材料・方法)の視点から徹底した改善も行いました。

4.ノウハウの蓄積と設備の進化・強化

こうしたプロセスを経て、最終的には、お客様の品質基準を満たした様々な梱包箱を納品し、実績を積み重ねてきました。
また、国内では独自に梱包設計に関する設備や試験機なども導入し、梱包設計から試作、評価まで一貫した開発体制を構築しました。
これにより、梱包設計から試作、印刷、製造まで一貫した開発・生産体制を、国内外のクレステックグループで連携するワンストップソリューションが確立し、今では現地の状況に適した提案ができるようになりました。

5.持続可能な未来へ 時代の流れに対応

現在、梱包設計業界では脱プラスチックに向けた取り組みや、梱包設計の現地化など、新たな課題が生じています。
これらの課題に対し、当社では過去のノウハウを活かしながら柔軟に対応していくことで、持続可能な社会づくりに貢献するとともに、常に時代の変化にも対応してまいります。


当社が梱包設計事業に進出した背景には、お客様の多様なニーズに応え、品質と信頼性を提供するという一貫したビジョンを持っています。
引き続き、時代の変化に対応しながら、新たな価値を創造してまいります。

梱包箱(カートンボックス)に関する設計、コストダウン提案、海外現地調達に関するお困 りごとなどがございましたら、お気軽にお問合せください。

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この記事の執筆者

Tomonori Tajimaのアバター

Tomonori TajimaCRESTEC

GL

執筆者プロフィール

「梱包設計のプロフェッショナル」通称タジです。
包装設計事業部のリーダーとして、チームを牽引しています。家庭では温かいパパとしても活躍中。これからも、経験を活かして新たな挑戦を続けていきます!

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