もしあなたが取引先から英文メールを受け取ったら、もしメールの添付資料が英語だったら、もし海外企業のホームページが英語で書かれていたら、もしあなたが英文メールを書かなくてはいけなくなったら、さあどうしますか?
この連載では、いかに楽をして効率よく英語を日本語に翻訳するか、自分が書いた英語が正しいかどのようにチェックするか、翻訳ソフトをうまく使いこなすにはどうすればいいのかなどのノウハウを4回にわたってお届けします。
「へええ、知らなかった~」と唸る情報満載ですよ。
気づけば身近な翻訳サービス
ウェブブラウザーで英語のサイトを開いたとき、アドレスバーの右端に日本語に翻訳するアイコンが表示されるのを見たことはありませんか?

「日本語」をクリックするだけでウェブサイト全体が日本語に翻訳されて表示されます。
あるいは、YouTubeのコメント欄にこのような表示を見たことありませんか?

「日本語に翻訳」をクリックするだけですぐに外国語が日本語で表示されて便利ですよね。
このように、ウェブブラウザーやYouTube内には翻訳機能が備わっているので、ユーザーはそれを利用するだけです。自分で翻訳する必要はまったくありません。
だからこそ、こういった便利な翻訳機能をうまく利用してちょっと気の利いた翻訳をしてみたいとは思いませんか?
「翻訳なんてムリ、ムリ、ムリ」と言うアナタ、騙されたと思ってちょっと試してみませんか。
そこには新しい世界が広がっている……かもしれません。
翻訳サービスを使ってみる
検索エンジンで有名なGoogleには「Google翻訳」という翻訳サービスがあります。
次のサイトにアクセスして左側の枠に翻訳したい文章を入れるだけですぐに翻訳が始まります。
https://translate.google.co.jp

同様のサービスにはMicrosoft TranslatorやDeepL(ディープエル)などがあります。


まずは実際に触ってみて気に入った翻訳サービスをブックマークすることから始めてみましょう。
写真の文字やファイル丸ごとの翻訳もOK
上記の例のように翻訳したいテキストが手元にあれば、それをコピー&ペーストするだけで翻訳サービスを使うことができます。
ところが、写真に写っている文字がコピーできなかったり、PDF資料のレイアウトを保ったまま翻訳したいときはどうすればよいでしょうか。
安心してください!
なんと「Google翻訳」はテキスト以外のデータも翻訳できるんです。
Google翻訳のサイトを見ると、[テキスト]の右に[画像][ドキュメント][ウェブサイト]というタブが並んでいます。

このタブたち、外国語で書かれている情報の大枠を素早く確認したいときの強い味方なのです。
写真などの画像を翻訳する
例えば[画像]タブをクリックしてオランダのスーパーマーケットで撮影した写真ファイルをドラッグ&ドロップしてみましょう。手に取った商品ラベルの注意書きが、見事にオランダ語から日本語に翻訳されました!!(ちなみに商品はパイプクリーナーです。)

ファイルを丸ごと翻訳する
続いて、[ドキュメント]タブをクリックして英語のPDF資料をドラッグ&ドロップしてみましょう。英語ファイルのレイアウトを保ったまま日本語に翻訳できました!!
翻訳後のファイルをダウンロードすることも可能です。

PDFのほか、Word、Excel、PowerPointファイルを丸ごと翻訳できてとても便利!……なのですが、くれぐれも社外秘資料などの取り扱いにはご注意くださいね!
ウェブサイト全体を翻訳する
[ウェブサイト]タブに翻訳したいウェブサイトのURLを入れるとサイト全体が翻訳できます。アドレスバーの右端に翻訳アイコンが表示されないときに使うと便利です。
Officeアプリ上でサクッと翻訳
先ほど、「Google翻訳」でPDFファイルを翻訳しましたが、Microsoft Officeのファイルなら、Word、Excel、PowerPointの各アプリケーション内で翻訳することができます。
ブラウザーを立ち上げて翻訳サービスにアクセスする手間が省けるのでちょっと得した気分になります。
例として、Wordファイルを翻訳してみましょう。
「校閲」メニューから「翻訳」をクリックします。
「選択範囲の翻訳」か「ドキュメントの翻訳」かを選ぶメニューが表示されます。
ちょっとした辞書替わりに使いたいときは「選択範囲の翻訳」が便利です。
Wordファイルを丸ごと翻訳したいときには「ドキュメントの翻訳」を選びます。

英語のWordファイルがまるごとレイアウトを保ったまま日本語に翻訳できました。

ただし、これらの機能はWordアプリを通してMicrosoft翻訳サービスを使用しているものです。くれぐれも社外秘資料などの取り扱いにはご注意ください!
英文メールやコメント対応も怖くない!
海外からの問い合わせやSNSコメント、英文メールを受け取ると、とたんに気が重くなってしまう人にはDeepLのChrome用拡張機能(https://www.deepl.com/ja/chrome-extension )がお勧めです。
この拡張機能の画期的なところは、海外のウェブサイトを翻訳してくれるだけではなく、自分がブラウザ上に入力した日本語を素早く翻訳できるということ。
Gmail、X(旧Twitter)、LinkedInなどのウェブサービスとの連携は、ビジネスの効率アップにつながること間違いなしです。
Xで英文コメントをポストしてみる
例えばこんなふうに日本語を入力してDeepLアイコンをクリックします。

即座に英語に翻訳してくれるので、タイムリーなコミュニケーションを実現できます。

Gmailで英文メールをやり取りする
外国語のメールを受け取ったら[メールで翻訳]ボタンをクリックするだけで、メールの本文全体が日本語で表示されます!

英文でメールを返信したり、新規作成したりするときは、日本語でメッセージを打った後でDeepLアイコンをクリックします。
ポップアップメニューが開くので、原文と訳文の言語設定を確認して[翻訳]ボタンをクリックします。

あっという間に、英文メールが完成します。
翻訳された英文に訳し直したいところがあれば、該当テキストを選択してDeepLアイコン→[推敲]ボタンを順番にクリックすると別の訳文を提示してくれます。
スマホでできるお手軽翻訳
スマホのカメラ機能を利用して翻訳する「Googleレンズ」というサービスもあります。
街中の看板やレストランのメニュー、海外土産のラベルなど、全く読めない言語に遭遇した時は、「Googleレンズ」を立ち上げてカメラをかざしてみましょう。
試しに、こちらのパッケージをGoogleレンズ越しに見てみると…

文字の部分だけが日本語に置き換わり、タラ肝油のサプリメントだということがわかりました! さらに、この言語がオランダ語だったこともわかります。

「Googleレンズ」があれば海外旅行は怖いものなしですね。
いかがでしたでしょうか。「翻訳」に対するイメージが大きく変わり、「あー、これなら自分でもできそう」と感じた人がいるのではないでしょうか。
次回は、さらに実戦的な翻訳サービスの使いこなし方をお届けします。お楽しみに!!