サーバーのOS、意識していますか?CentOS 7のサポート終了への対応

2024年6月末をもって、CentOS 7のサポートが終了しました。

この記事では、CentOSなどのサーバーOSや、そもそもサーバー自体に詳しくない方に向けて、サーバーOSについてや、サポートが終了するとどうなるか、対応には何が必要でどんな費用がかかるかを紹介します。

目次

サーバーのOSが意識されない理由

自社WEB運用などでLinuxサーバーを利用しつつも、普段はサーバーOSの事など気にかけていない方が多いのではないでしょうか。

毎月アップデートのあるWindows OSとは異なり、アップデート処理によって目に見える影響も少ないため、WEBの仕事に携わる業種であっても、サーバー技術者で無い限りは、サーバーOSを直接的に操作する機会も無いため、ほとんどの方が意識から外れています。

意識から外れる大きな理由の一つが、サーバーOSの多くは、コストをかけずに利用している点です。

サーバー自体の費用や、作業用のPCとその上で動かすアプリケーションは、大抵の場合費用が発生しているので、機器の管理者以外にも、部門長や経理、受託案件であればプロジェクトマネージャーやディレクターといった管理者が気に掛ける事になりますが、OSのライセンス費がかからない事から、こういった立場の方からも意識されない傾向にあります。

突然提示されるサーバー更改費用

冒頭に挙げたとおり、CentOSというオープンソースのサーバーOSを、多くの企業が利用してます。その普及率はかなりのものでしたので、もし自社で運営するWEBサイトのサーバーOSについて、2024年7月になっても何も話題がない場合、一度確認してみてもよいかもしれません。

サーバーOSのサポートが終了すると、セキュリティアップデートやバグ修正が提供されなくなり、サーバーは脆弱性にさらされることになります。

サポートが切れた瞬間に異常が起きるという事では決してありませんが、サポート切れという状態は、データ漏えいや、フィッシングや不正メール送信の踏み台となり、加害者の立場になってしまう重大なリスクを抱えることになりかねません。

なのでサーバーOSのサポート終了に伴い、サーバー自体を新しい環境に乗り換える(サーバー更改)か、またはサーバーOSを新しいバージョンにアップグレードするかを検討する必要があります。これには、時間と手間そしてコストがかかります。

運営しているWEBサイトによって状況は変わってきますので、次に具体的な例を挙げて説明します。

静的ページだけで構築されたWEBサイト

まずはもっともシンプルなケースとして、HTML / CSS / Javascript といったソースファイルと、画像・動画のみで構築されたWEBサイト。これは新しく用意したサーバーにファイルをアップし直すだけで対応は完了となります。WEBサイトの規模にもよりますが、サーバー構築後1~3日程度で対応は完了するでしょう。

PHPなどのプログラムが動作しているWEBサイト

プログラムが動作している場合、サーバーの更改にあたりプログラムのバージョンや追加しているモジュールのことをケアする必要があるため、手順が多くなります。

現在動作しているプログラムのバージョンや必要なモジュールを確認し、新しいサーバーにそのまま移行するべきか・移行できるかを検討。古いバージョンのままだった場合には、このタイミングでプログラムのバージョンアップも検討することになる場合もあり、大幅なバージョンアップにおいてはプログラムの書き直しも必要になる事もあります。

サーバーの更改と合わせて検討・計画し、移行全体に3ヶ月以上はかかると思ったほうが良いでしょう。

WordPressで構築したサイトなど、データベースが動作しているWEBサイト

プログラムに加えて、データベースが動作している場合にはさらに手順は多くなります。

データベースにも種類がいくつかあるうえ、プログラムで確認したのと同様に、データベースにもバージョンが存在します。データベースとプログラムそれぞれのバージョンの相性も考慮する必要があります。

またデータベース内のデータを移管するには、適切な技術をもったエンジニアが必要と考えておいたほうが良いでしょう。

このケースにおいても移行はサーバーと合わせて検討し、6ヶ月くらいの期間を見て計画するのが安全です。

このとおり、普段なんとなく利用しているものでも、技術的な知識を必要とし、いざサーバー移管となるとWEBサイトを新たに構築する際の費用の約半分(企画・構成・デザインを除いた技術分)が必要になることがイメージできたでしょうか。

サーバーに必要なもの・こと

ここまで、運営しているWEBサイトの状況ごとにサーバー移管に必要なことを紹介してきました。続いては、サーバー上で動作している要素について説明します。

サーバーOS、ミドルウェア、WEBサーバー、メールサーバー、データベース、これらそれぞれが連携して機能することで、WEBサイトとして稼働・サービスを提供します。

これらの要素は、オープンソースソフトウェアとして提供されており、世界中で多くの企業や開発者が利用しています。

サーバーOS

サーバーOS(オペレーティングシステム)は、サーバーハードウェアとアプリケーションソフトウェアの間に位置し、基本的な操作と管理を担当します。ファイルシステム管理、ネットワーク設定、セキュリティ管理、ユーザー管理などの機能を提供し、サーバー全体の安定性と効率性を確保します。

例:CentOS、Ubuntu、Debian、Rocky Linux、AlmaLinux、Windows Server など

WEBサーバー

WEBサーバーは、ユーザーのブラウザからのリクエストを受け取り、対応するWEBページを返す役割を果たします。HTMLファイル、画像、スタイルシート、JavaScriptなどの静的コンテンツを提供するほか、動的コンテンツ生成のためのリクエストをプログラム言語やアプリケーションサーバーに転送します。

例:Apache、Nginx、IIS など

メールサーバー

メールサーバーは、電子メールの送受信を管理するシステムです。WEBサイトでは、ユーザー登録確認メール、パスワードリセット、ニュースレターなどの機能でメールを送信する必要があります。SMTPサーバー、IMAP/POPサーバーが含まれます。

例:Postfix、Sendmail、Dovecot、Microsoft Exchange Server など

データベース

データベースは、WEBサイトが利用するデータを管理・保存するシステムです。ユーザー情報、製品データ、コンテンツなどを構造化して保存し、必要に応じて迅速にアクセス・更新することができます。SQLデータベースとNoSQLデータベースがあり、用途に応じて使い分けられます。

例:MariaDB、SQLite、PostgreSQL、Oracle Database など

このような要素がサーバー上には存在し、それぞれ独自の技術として専門知識を必要とします。

大切なのは適材適所、専門家に任せるなら・・・

ここまで述べてきたように、サーバーOSの選定と管理は、企業が運営するWEBサイトや、ITインフラの安定性とセキュリティを確保するために欠かせない要素です。そして、2024年6月時点でサポート終了したCentOS7を使用している場合は、迅速に対応する必要があります。

対応の手段については様々な方法がありますし、もし現在もCentOS7を使用し続け、追い詰められた貴方、つまりはサーバー管理者の無い状態でここまで来てしまった方にとっては、サーバーの見直しだけでなく、そのプロジェクトの座組みから見直す良いタイミングかもしれません。

最後に、サポート修了のようなトラブルを未然に防ぐため、サーバーの選び方、サーバー運用に必要なリソースについて紹介します。少し技術的なことまで書いてきましたが、実は全て把握する必要は無いかもしれません。

次に、サーバー管理を依頼・任せられるサービスを紹介します。

共用サーバー(レンタルサーバー)

複数のユーザーが1つのサーバーを共有する形態のサービスで、レンタルサーバーとも呼びます。個人や小規模なビジネスにとって、手軽でコストパフォーマンスの高い選択肢となります。

サーバーの設定や各種アップデートはプロバイダーが行うため、技術的な知識が不要です。

最近では多くのレンタルサーバーがWordpressのインストール機能を有しており、WEBデザイナー・WEBディレクターくらいの知識があれば、WEBサイトの構築が可能です。

一方、サーバーの設定やソフトウェアのインストールには制限があります。

マネージドサーバー

レンタルサーバーと違い1つのサーバーを1ユーザーで使用しますが、サーバーの設定や各種アップデートはプロバイダーが代行してくれるサービスです。ハードウェアの管理だけでなく、ソフトウェアのインストール、設定、アップデートもプロバイダーが実施してくれるので、共用サーバー同様に高度な専門知識は不要です。

レンタルサーバーよりもサービス品質が高い分、少しコストが高めになります。

クラウド

AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなど、クラウドサービスはトラフィックやデータ容量などの利用状況に応じてリソースを拡張できます。また同サービス内での連携(データベース、ストレージ、分析ツールなど)が比較的容易に実現できます。

サービスごとに専用の知識が必要になる点が特長であり、利用者側に専用のエンジニアが必要となります。

サーバー運用サービス

いずれのタイプのサーバーに対しても、有人で24時間365日の死活監視を提供するサービスがあります。ダウンタイムによるサービス停止が大きな損害となるような事業には特にお勧めします。サーバー運用サービスの多くは、各種アップデートなどのメンテナンスも対応してくれるため、サーバー運用をまるごとお任せすることができます。

コストは高めになりますが、24時間365日の運用を自社リソースで行うよりは安い事が多く、またダウンタイムによる損失を考慮し、判断すると良いでしょう。

ASPサービス

ASP(Application Service Provider)と呼ばれるサービスを利用するのも有効な手段です。

特定のアプリケーションをインターネット上で提供するもので、ユーザーはサーバーを意識することなく必要な機能を利用することができます。例えばECサイト、電子メール、ファイル共有など、ミッションクリティカルな機能において自社リソースに自信の無い場合は、ASPを活用するほうが安心できるかもしれません。


最後に。必要なリソースを適切に配置することが、コストを抑えて安全なWEBサイト運用をするポイントかと思います。

ますます広まるデジタル・コミュニケーションに必須となるサーバーについて、少しでも心配が減らせたら幸いです。また、私達はコミュニケーションのプロとして、ツール・インフラについてもご相談承りますので、担当営業までお気軽にご相談ください。

お気に入りの記事をシェアしよう!

この記事の執筆者

Kazuhiko Katoのアバター

Kazuhiko KatoMinds

取締役

執筆者プロフィール

WEBを中心としたデジタルメディアでのコミュニケーションのデザインを担当。
複雑な情報をシンプルに伝えることを得意とし、主にIT・製造・人材などの業種において、BtoBのサービスを解りやすく魅力的に表現したコミュニケーションツールを制作。

目次