脱チャイナ!?本当は出ていけ?出ていくな?チャイナプラスワンの実像とは

華南地区は、世界でも有数の製造集積地として発展を続けてきました。その中心に位置するクレステック東莞。華南の成長とともに歩み、時代の変化に合わせて役割を進化させてきました。ここでは、チャイナプラスワンの実像を“現場の視点”から捉えながら、東莞がどのように変化し、今どのような立ち位置にあるのかをご紹介します。

目次

中国華南地区の発展

華南と言えば、まず古くから貿易港として栄えた広州市。中国本土の都市ランキングでは北京市、上海市に次ぐ3位です。そしてその広州にほど近い深圳市。80年代初めまでただの寒村だった深圳は、経済特区に指定されると急速に発展し、現在では総合的な世界都市ランキングにおいて世界75位の都市と評価され、中国本土では北京市、上海市、広州市に次ぐ4位です。その深圳の南隣が香港になります。

この一帯を中心として、AV機器・デジタル家電・OA機器、自動車関連、電子部品や精密部品の製造が非常に盛んになり、それに伴い日系企業も多く進出しました。当時は香港に本社機能を構え、華南地区で製造を担う商流が主流でした。最盛期には駐在員や帯同家族を含め、約4万人の日本人が華南地区に滞在していました。

中国華南地区におけるクレステック東莞の歩み

広州と深圳に挟まれた東莞市に位置するのが、クレステック東莞です。クレステックとしては1991年にクレステック香港が立ち上がり、現地企業に生産委託しながら日系企業へ印刷物や梱包資材の供給を開始しました。しかし、現地企業のコントロールに苦慮したため、2003年にクレステック東莞を立ち上げ、化粧箱、緩衝材、取説類の自社印刷生産を開始しました。当時の取引通貨は外貨が中心でした。

チャイナプラスワンとクレステック東莞の今

2000年代半ばより人件費や地価の高騰が始まり、労働争議の増加も重なり、中国以外で安価に製造できる東南アジアに拠点を追加する動きが始まりました。2010年代に入ると地政学的緊張や反日の影響を受け、その動きは一層加速。その後は米中貿易摩擦やコロナの影響もあり、チャイナプラスワンの動きは継続しています。

現在は中国国内の取引ルールやロジスティクスの整備が進み、中国に本社機能を移転する企業が大半となり、それに伴い取引通貨も人民元へ変更されています。

クレステック東莞の顧客も例外ではなく、ほぼすべての顧客が中国生産のシェアを減少させ、東南アジア(および日本)へ生産移管を進めています。それに伴い、クレステック東莞も商社的な性格が強くなっていきました。

ただし、中国での生産をゼロにする完全撤退ではなく、高品質が求められる高級機種や中国市場向け製品のみの生産ラインを残す企業が多い状況です。また、中国における完全撤退は税務面や海外送金の難しさにより、ハードルが非常に高いことも一因です。

中国から見たチャイナプラスワン

ここからは視点を変え、チャイナプラスワンを「中国側の立場」から見てみます。

なお、“チャイナプラスワン”という言葉自体は日本特有の用語ですが、 中国側もこの動きを重要なサプライチェーン再編の一つとして認識しています。

誤解①:チャイナプラスワン=脱中国

日本では「中国から逃げる戦略」「ASEANが中国の代替」「ベトナムに移れば安心」「中国の製造力は低下」といった報道が目立ちます。

一方、中国の視点では以下のように解釈されます。

  • 中国を中核にしつつリスク分散
  • ASEANは中国の補完
  • ベトナムに移っても原材料は中国依存
  • 中国の製造力はむしろ拡大

中国政府は2026年に「産業チェーン・サプライチェーンの安全に関する国務院規定」を公布し、中間財サプライチェーンを国家の命脈として扱っています。

誤解②:ASEANが中国の代替になる

中国のサプライチェーンは代替不可能で、原材料・部品・設備の多くが中国由来です。

  • ベトナムの中間財輸入の約40%が中国
  • タイ・マレーシアも同様
  • 中国企業自身がASEANに進出し供給網を“中国化”

誤解③:中国の製造力は低下している

実際には中国の世界製造業シェアは拡大しており、物流・加工・品質・中間財供給力は依然世界トップです。

中国はチャイナプラスワンを歓迎しており、

  • 高度産業へ集中したい
  • 労働集約工程はASEANへ移る方が都合が良い
  • 中国企業がASEANへ進出し供給網を“中国化”

という戦略を取っています。

まとめ

以上のように、チャイナプラスワンは「脱中国」ではなく、 中国を中核に据えた多拠点化の流れであることが分かります。

その中で、クレステック東莞だけを見れば、チャイナプラスワンの影響を正面から受け、課題が多いのは事実です。顧客の生産移管が続き、製造拠点としての役割はほぼ失われ、現在は商社機能が中心となっています。東莞はまさに“時代の波に翻弄される現場”と言ってよいでしょう。

しかし、クレステックグループ全体で見れば状況は少し違って見えます。中国(東莞)・ベトナム・インドネシアが互いに補完し合うことで、多拠点時代に対応できる柔軟性を保っています。この“ニッチで柔軟な体質”こそが、クレステックという企業の本質でもあります。

中国という国は、日本人が思う以上にしたたかで、巧みな戦略を持つ国でもあります。そんな中国には、現在も約2.5万社の日系企業が進出しています。チャイナとチャイナプラスワンの境界に位置するクレステック東莞は、そのどちらからも活用いただける、ちょうど良い立ち位置にあります。

現在は商社機能を中心に、従来から取り扱ってきた印刷物や梱包資材に加え、近年では対応できる企業が少なくなっているCD-ROMの生産にも引き続き対応しています。さらに、ノベルティやマジッククロスなどの新商材にも積極的にチャレンジしています。

中国での調達や生産、商材について、「こんなものはできる?」というご相談も、ぜひお気軽にお声がけください!

※挿入イラストは、Copilotによる生成画像です。

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この記事の執筆者

Yuya Matsuiのアバター

Yuya MatsuiCRESTEC

総経理/ハノイ支店長

執筆者プロフィール

中国・華南地区とベトナム・ハノイの業務全般を担当しています。
「こんな部品探せる?」「現地の調達ルートに困っている」など、調達関連のお悩みがあれば何でも探してきますので、お気軽にご連絡ください!
今年の個人目標は「体を鍛え直して10年ぶりのサーフィン復活」です。

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