中小企業の採用マーケティング|意識すべきポイントとともに解説

中小企業の採用マーケティング|意識すべきポイントとともに解説

昨今、労働人口の減少により採用競争が激化しています。

それに伴い採用にまつわる課題を持つ企業は多いのではないでしょうか?

特に中小企業は、かけられる費用やリソースが限られているうえ、大手企業に比べて認知度が低いため、採用活動は容易ではありません。

そこで今回は「中小企業が行うべき採用マーケティング」について紹介します。

目次

中小企業の採用活動で重要なポイント

弊社でも採用に関するご相談が増えており、私自身もこれまで様々な企業の採用課題に向き合ってまいりました。

もちろん課題は企業により様々ですが、共通して言えることは採用戦略がきちんと練られていない場合が多いということです。中小企業では専任の採用担当がいない場合も多く、戦略なき採用施策になってしまいがちです。

しかしそうすると、求職者に伝えたいことが伝わっていなかったり、余計な採用コストがかかってしまうといった事態に陥ります。

ではどうすればいいか、採用戦略というと難しく感じてしまいますが、

「誰に」「何を」「どうやって」

これを整理していくことが重要です。

図1 「誰に(欲しい人材)」「何を(価値)」「どうやって(方法)」

「誰に」伝えるかを考える:ペルソナの設計

単にターゲットとして年齢や学歴、職歴といった属性を絞り込むのではなく、性格や人柄までを想定したペルソナを設定します。

そこまで詳細に設定する必要があるの?と思われがちですが、ペルソナを設定することでその後の施策がより明確になります。

例えば営業の募集で考えた際に、「20代でコミュニケーション能力の高い男性」と言っても、状況やパーソナリティは様々です。趣味が多く家族もいてワークライフバランスを大切にしたいAさんと仕事一筋で上昇志向が強く、ガツガツ稼ぎたいBさんでは合う会社はまったく違うでしょう。

図2 ペルソナ設計

応募が集まらないからといって広い層を想定すると、施策はどんどんぼやけていってしまいます。ペルソナを設定し、欲しい人材の解像度を上げることで、コンセプトが絞られ、届けたい人にきちんとメッセ―ジが届く採用を行うことができます。

また、判断に迷った際の指針にもなってくれるのも大きなメリットといえるでしょう。

「何を」伝えるかを考える:発信するべきメッセージ

求職者(ペルソナ)が求めている要素

多くの企業が、自社のメリットを強く打ち出しています。しかし、そのメリットは企業側の視点だけで発信されていませんでしょうか。一方的なコミュニケーションでは求職者には響きません。採用活動では受け取る側の気持ちになって考えることが重要です。

近年では就職先に求める条件も変化しつつあります。
10年前では企業の知名度や安定性が重要視されていたのに対し、現在ではやりがいや働き方が重要視されています。さらに、価値観の多様化によりワークライフバランスや理念への共感を大切にする人も多くなっています。

時代によって価値観は変化していくため、市場調査も行いながらニーズをくみ取るのがポイントです。

自社が打ち出していく強み

採用競争において、大手有名企業の方が有利なのは確かです。しかし、中小企業でも大手企業に勝るポイントはいくつもあります。

小規模だからこそ仕事の流れが見えやすく、個人の裁量権は大きくなります。また、若いうちから責任のある仕事を任せてもらえる場合も多く、昇進スピードが速いケースも珍しくないです。

さらに、理念や価値観を打ち出していくのも一つの手です。

価値観は企業によって優劣が付くものではないため、企業文化ややりがいへの共感でマッチングを狙うのもいいでしょう。

企業が発信すべきメッセージの考え方

「良い企業」の基準は人それぞれです。多くの求職者に「良い」と思ってもらえる要素ではなく、欲しいと思う人材(ペルソナ)が魅力に感じるような要素に絞りましょう。それはどこの企業にもある物ではなく、自社にしかない良さや価値観であることが理想です。

採用活動では、「自社が打ち出していく要素」だけではなく、「求職者(ペルソナ)が求めている要素」も想定し、2点が重なる部分を発信していくべきなのです。

図3 企業が発信すべきメッセージの考え方

「どうやって」伝えるかを考える:ストーリーの設計

次に、先ほど考えた「発信するべきメッセージ」を「ペルソナに当てはまる人たち」に対して、どうやって届けていくのかを考えます。

採用活動を行う際に、まずはきれいな採用サイトを作りたい、とりあえず求人サイトに出してみた。とスポット的に施策を行う企業はたくさんあるのではないでしょうか。
しかし、求人サイトは募集していることを認知してもらう場、採用サイトやパンフレットは自社の理解を深めてもらう物。ツールによってそれぞれの役割があります。

図4 ストーリー設計のファネル

理解を深める受け皿がないのに求人広告にお金をかけてしまっていないでしょうか?
現在求人にかけているコストは本当に最適でしょうか?
採用難の現在において、戦略の無い求人広告は全くの無駄になりかねません。
ツールや施策をスポットで考えるのではなく、認知から採用までのストーリーを設計することで余計なコストを削減することも可能です。

また、手法は決して求人媒体への出稿だけではないのです。
中小企業の場合、大手企業の求人に埋もれてしまい、求職者に届いていないというケースもあります。
SNSの利用や説明会、インターン、リファラル採用、ダイレクトリクルーティングなど様々な選択肢から自社の状況にあった最適な手法を検討することが大切です。

どこで自社を知ってもらい、何を理解してもらうのかを想像しながら、最適な手法で一貫性のある発信を行いましょう。

中小企業の採用のあるべき姿とは

中小企業の採用のあるべき姿として、私は「尖らせた採用」を行うことが理想だと思っています。

本文で申し上げた通り、大手有名企業は中小企業に比べてメリットが明確で母集団が形成しやすいと言えます。また、採用にかけられるコストが大きいため、より有利に施策を行えるでしょう。

それに対して中小企業は、大手有名企業に対抗して大きな母集団の形成やコンテンツの充実を図っても、どんどんとコストが膨れ上がり、資金力で負けてしまうのが現実です。
これは地方企業になってくればより顕著に表れるでしょう。

数百人規模の採用を行う大手企業と違い、数人から数十人規模の採用活動となる中小企業は、大きな母集団を形成することにとらわれず、欲しいと思う人材にだけ刺さるような、ピンポイントなアプローチが理想です。

ここまで整理してきた「誰に」「何を」「どうやって」という考え方の基、ペルソナにだけ刺さるような自社の強みを、最短距離で届ける。
そんな尖らせた採用を行うことができれば、余計なコストの削減や、ミスマッチを減らすことが可能です。

まとめ

採用競争が厳しくなっている中、中小企業こそ採用に力を入れていかなければなりません。
弊社ではそんな中小企業様向けに採用戦略の支援サービスをご用意しております。

ここまで、私が考える理想的な採用マーケティングをお話してきました。
しかし、課題は企業によってさまざまなため、打つべき施策も変わってきます。

プロジェクト進行の際には、経営層や管理職だけでなく、従業員も含めたヒアリングを行い、課題の抽出から行います。企業に合わせて採用戦略からツールの制作、募集や採用フローの支援まで行うことができますので、お困りごとがあれば是非一度ご相談ください。

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この記事の執筆者

Masamichi Tannoのアバター

Masamichi TannoMinds

プロデューサー

執筆者プロフィール

プロデューサーとして、マーケティング戦略やプロモーション企画から制作、運用に携わる。
webや映像を中心にグラフィックやイベントと、様々なメディアを経験。
20年以上飼っているカメと二人暮らし。

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