「最近の若者の言葉は……」というぼやきは、古代エジプトの時代から繰り返されているそうです。それほどまでに、言葉というものは常に揺れ動き、形を変えていく運命にあるのでしょう。
今年流行した言葉が来年には「死語」と呼ばれ、「役不足」や「煮詰まる」といった慣用句の意味がいつの間にか逆転して定着する。私たちは常に、あやふやで移ろいやすい言葉の海を漂っています。

激流の中で「変わらないもの」
では、この激流の中で「変わらないもの」はあるのでしょうか。
ここで少し視点を変えて、「数学」という物差しを持ち出してみたいと思います。言葉は変化しますが、論理や真理はどうでしょうか。
およそ100年前、大正から昭和初期にかけての東京帝国大学(現・東京大学)の入試問題を見てみると、そこには「〜ナルコトヲ證(しょう)セヨ」「〜ヲ求ム」といった、カタカナ交じりの重々しい文語体が並んでいます。
しかし、そこで問われている図形の性質や数式のロジックそのものは、現代の私たちが読んでも十分に理解可能です。文末が「求めよ」に変わっても、数式や論理という骨格は国境も時代も超える最強の「共通言語」として機能し続けています。

「情緒」から「効率」へ ― 進化する表現スタイル
一方で、情報を伝えるための「表現スタイル」は、時代と共に劇的な変化を遂げています。
例えば、80年代のゲーム雑誌と現代の攻略サイトを比べてみましょう。
かつての雑誌は「この洞窟の奥、暗闇に目を凝らすと……なんと宝箱があるぞ! 中身は伝説の竜の剣だ。さあ、この剣を使って憎きボスを倒しにいこう!」といった、書き手の熱量や情緒を重視した文章でした。
対して、現代のウェブ上の攻略情報は
場所:マップC-4(宝箱)
効果: 攻撃力+50
備考: ボス戦で必要になります
これは単に「味気なくなった」わけではありません。忙しい現代において、最短距離で正解にたどり着けるようにする、いわば「効率という名の思いやり」への進化なのです。

そして、この変化は「取扱説明書」にも顕著に表れています。
かつてのマニュアルは、「お買い上げありがとうございます」という丁寧な挨拶から始まる分厚い冊子が当たり前でした。
しかし、テクノロジーが進化し、直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)が普及した現代では、マニュアルは驚くほど薄くなっています。「箱を開けたらQRコードのみ」という製品も珍しくありません。 文章も「読み込ませるもの」から、「検索されるもの」へ、そして「必要な時にだけ寄り添うもの」へと、その役割を軽やかに着替えています 。

あなたの製品に、最高の「今の服」を
古いから悪い、新しいから良いということではありません。100年前の数学が文語体をまとい、80年代の雑誌が熱狂をまとっていたように、言葉はその時代の空気感やテクノロジーに合わせて、最適な「服」に着替えているのです。言葉も時代に合わせて「衣替え」が必要です。
素晴らしい技術で作られた製品だからこそ、それを伝える言葉もまた、今の時代の空気をまとった軽やかなものでありたいものです。
・「多言語展開しているけれど、現地の今の感覚に合っているか不安」
・「機能は素晴らしいのに、マニュアルが厚すぎて魅力が伝わっていない」
・「動画やチャットなど、新しい伝え方に挑戦したいけれど、何から始めればいいかわからない」
もし、お手元の取扱説明書やドキュメントに「そろそろ言葉の衣替えが必要かな?」と感じる部分がございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
御社の製品とユーザーをつなぐ、今の時代にちょうどいい「伝え方」を、一緒に探すお手伝いができれば幸いです。

